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宮崎家庭裁判所 昭和58年(少イ)1号 判決 1983年9月28日

被告人 Y(昭○・○・○生)

主文

被告人を懲役八月に処する。

未決勾留日数中三〇日を右刑に算入する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人はa一家内のb組の組長であるが、被告人が入院中に同じ病院に入院していて面識のできたA(昭和○年○月○日生)が昭和五七年四月中旬ごろから被告人の自宅(当時は宮崎市北権現町)に出入りし、b組の若頭であるC(昭和○年○月○日生)とも面識ができ、右Cを介し組への加入を申し出たことから、被告人は右Aが一八歳に満たない児童であることを知りながら同人をb組の一員として活動させることを右Cと共謀し、法定の除外事由がないのに右Aを同月下旬ごろから被告人の自宅(前記宮崎市北権現町所在及びその後転居した肩書住居所在)に起居させ、次に右Aの友人B(昭和〇年○月○日生)が同年一〇月ごろからAと共にb組事務所に出入りしはじめ前記Cと面識ができると被告人は右Cと共謀し右Bが一八歳に満たない児童であることを知りながら同人をb組の一員として活動させる目的で、法定の除外事由がないのに右Bを同年一一月ごろから宮崎市大島町南窪八〇五番地七の前記Cの自宅に起居させ、いずれも昭和五八年五月二四日ごろまでの間、外出の際はポケットベルを携帯させ何時何処からでも被告人らに連絡を怠らないよう申しつけ、組事務所の当番、暴力団組員の刑務所出所出迎え、対立抗争関係にあつた暴力団二代目c組系の暴力団の襲撃に備える警戒待機などをさせ、もつて児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的で児童をその支配下に置いたものである。

(証拠の標目)

(編略)

(累犯前科)

被告人は昭和五三年七月二四日宮崎地方裁判所において道路交通法違反の罪により懲役四月の刑に処せられ、昭和五四年一二月五日右の刑の執行を受け終つたものであり、右の事実は被告人の当公判廷における供述及び検察事務官作成の前科調書によりこれを認める。

(法令の適用)

被告人の判示所為は、児童二名の各自について児童福祉法六〇条二項、三四条一項九号、刑法六〇条に該

当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告人には前示累犯となる前科があるので、刑法五六条一項五七条によりいずれも再犯の加重をなし、以上は併合罪であるから刑法四五条前段四七条一〇条により犯情重いと認める判示Aに対する罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役八月に処し、刑法二一条を適用して未決勾留日数中三〇日を右の刑に算入することとする。

よつて主文のとおり判決する。

検察官 長野哲生 出席

(裁判官 境野剛)

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